フライハイしたら心がフライハイしたんですが

 下から見る景色と実際に上って見る景色はとても違う。
「うわぁ……高い」
 自宅の近くにある遊園地に遊びに来た俺は、知り合いに言われここまで来てしまった。そう、バンジージャンプである。体にゴムロープ的な紐を巻き、ジャンプ台から飛び降りるというアトラクションである。最近だと成人式で飛ぶところがあるぐらい有名なアトラクションだ。
 下から見る限りではそんな高くないなぁと高を括っていたが、いざ上って見ると意外に高くて焦った。地上には万が一の為にクッションがあるのだが、それが余計に恐怖を増幅させる。体感では高層ビルの屋上にいる気分だった。
「では、命綱巻きますね」
 女性スタッフが俺の体に命綱を巻いていく。
「はい。では飛びましょうか」
 命綱を巻き終えた女性スタッフが俺に言う。
「は、はい……」
 体が震えているのが分かるぐらいに震えていた。
「大丈夫。大丈夫。ただ飛ぶだけ。ただ飛ぶだけ」
 そう心で念じるが体の震えは止まらない。
「カウントダウン始めますね。さん!にー!いちっ!ぜろ!」
 女性スタッフが俺の体を押しジャンプ台から落とす。
「うわぁああああああ!」
 俺は叫んだ。だって押されたんだもん。普通自分で飛ぶもんじゃないの?とか思いながら俺は叫ぶ。クッションに近くなったところでロープの長さが限界になり、落下が止まる。
「お疲れさまでした~」
 と、チャラそうな男性スタッフが命綱のロックを外していく。
 地面を踏んでいることがしばらく分からなかった。
「あぁ、怖かった……」
 俺はベンチに座って言う。
「マジで叫んでて普通に笑ったわ」
 友人がジュースを飲みながら笑う。
「なぁ、あれって落とされるもんなの?普通自分で飛ぶんじゃないの?」
「いや、なんか混雑するからスタッフが押しますよ~みたいなの看板に書いてなかったか?」
「えっ?」
 そう言われ俺は急いで看板を見に行く。すると、バンジージャンプの看板の隅に小さく「このアトラクションは混雑防止の為スタッフが押させていただきます」と書かれていた。
「こういう重要なことは小さく書くなや!」
 俺は思わず声を荒げて言った。
 そして、二度とバンジージャンプするかと心に誓った。