民殺


北陸新幹線を境に日本は半分に別れた。北陸新幹線は完全に地下に追いやられ、その上には壁が建設された。
【国家保全対処法】
一つの事件により、日本は二つに分断された。
東京を中心として、北陸新幹線から東西に別れた日本。反目し合う関東と関西。その二つの勢力が起こした事件により、この法律が作られた。その事件とは、
【東西民分断虐殺事件】
通称民殺。
これは二つの大きな宗教グループが起こした事件で、お互いのグループの人員を誘拐し合い、虐殺したという事件だ。
この二つの宗教はお互いに憎み合い、その宗教の教えには不倶戴天の敵だという思想もある。
それだけ過激な宗教思想だが、多くの人間に広まっている。そのため、東京では関東民関西民による暴行事件が多発した。
日本の政府は、法律では縛りきれないと判断し、物理的に日本を西と東に分断した。
東京は唯一の通り道、兼中立県として解放されている。当然空港からでは東西を行き来できず、東京を通り抜ける必要がある。
この二つの宗教を取り締まるために警察に力が入り、東京では犯罪検挙率が全国一位となっている。
東京では日夜サイレンが鳴り響き、海外からは日本のスラム街と蔑まれている。
この二つの思想は沖縄や北海道までは届いておらず、穏健派や中立派の人間の多くが移住している。それにより日本の都市が二つできるという状況になった。
東は仙台。西は福岡。この二つが今一番人気の高い県となっている。
事件の首謀者が捕まったとは言えその思想は根強く残り、未だに問題は解決されていない。
政府が仲を取り持ち話し合いをさせたこともあったが、そこでも乱闘が始まり話し合いどころではなかったという。
一部の中立派や宗教勧誘を受けなかった人間、まともな思想を持った人間が政治家となり日本をまとめている。
ちなみに、この二つの宗教グループに所属している、或いはそういった思想を持っている人間は政治家にはなれないという決まりもできた。
そして、政治家は今では日本で一番なりたくない職業ランキング一位となっている。ネットでは、元政治家が胃に穴が空いた話で人気を博している。
それから数年。日本では、
【踏み絵法】
というものが制定された……。

「お前ら、ここテストに出すからな」
そう言って教師は黒板を指し示した。