潜伏ナイト2

「潜伏ナイト2」
血を流しながら歌を歌ったマン

俺は、政権を手にした姫・クリスとともに俺たちは別の時代へと逃げてきた。
そして、俺は海斗の身体を借りてクリスを守っていくのが役目だ。
一人目の刺客からクリスを守ったあと、そいつは今後刺客がまだ来ると予告し、魂を消した。
俺は、この後にクリスの手にした政権を奪おうとする刺客を退いて行かなければならない。

「ナイト、今回もありがとう。でも、この世界で目立つことをすると𠮟られるわ」
「誰にだよ」
「オカアサンと呼ばれる人よ。ガッコウとか言われる場所に行かないとダメみたいだわ」
「この時代は面倒くさいんだな……。」
普通に立って会話をしているだけなのに、なんだか力が抜けて膝を地面につき立ってすらいられない。
「ナイト大丈夫。さっきの敵に毒でも貰ったの?」
「毒ではないはずだ。そんな攻撃をする素振りは見られなかった……」
「とりあえず、回復をします」
クリスの手から青い光がふわりを現れ、その光は俺の身体を優しく包み込んだ。
「体力ではないようだ。少しだけ暖かいが効いていないと思う」
「それじゃあ、何が原因なの?」
「わからない。だけど……」
俺は目を閉じてしまう。

目を覚ますと、保健室のベッドの上だった。
あの剣を見てからの記憶がない。
体を起こして隣を見ると、クリスさんがいた。なぜなのか。
「ナイト起きたのね。無事でよかったわ」
クリスは、椅子から立ち上がって俺に抱きついてきた。
どういうことだ。俺とクリスは初対面のはずだ。
でも、女性の身体が密着している状態だ。ドキドキしないはずがない。
ふんわりとした甘い香りがする。こんな香りは嗅いだ時はない。とても新鮮な匂いだ、あぁ、なにかわからない状態だがとても幸せだ。
でも、俺はナイトじゃない。
「俺は、海斗だけど」
「え、噓でしょ」
急にクリスは離れてしまった。
急に温もりがなくなってしまって寂しいな。
クリスは大袈裟に体から埃をはらう素振りをみせた。
「なんだ。あんたか」
あからさまに嫌そうだ。結構傷ついた。美少女になにをしたらこんなに嫌われるのだろうか。
「あんたに説明しなきゃいけないことがあるわ」
「あんたじゃなくて、海斗とかって読んで欲しいな」
「うるさいわね。あんたは黙って私の話だけを聞けばいいのよ」
これに逆らえば、殺されそうなまなざしだった。
「あんた、返事はないの?」
「はい!」
返事は必要らしい。急なことで声を出し過ぎてしまった。
「あなたには、ナイトという人が入っているわ。その人は私を守るための騎士なの。だから、あんたには無茶なことをしないでもらうわ。そして、私から離れないこと。わかった」
「全然、わからないわ」
ほんとにわからん。
「あんた、理解力がないのね。簡単に言っている方なのに。もう一回言うわよ。ちゃんと聞いてなさい。あなたは私から離れちゃだめよ」
「そこに至るまでの情報が少ないから、わからないって言ってるんですけど」
「もうあんたってば無能なのね。ほんとにナイトが中にいるのか疑いたくなってきたわ」
「ナイトってまず誰だよ。そして、俺はお前を何から守ればいいんだ。お前はなんで狙われているんだ」
「あんた、質問が多すぎるわ。一つずつ答えてあげるわ」
「まず一つ、ナイトは私の騎士よ。私と一緒にこの時代の人の身体を借りているわ。私の身体の主君もあなたと一緒で無事よ。たぶんだけど、ナイトは大事な時だけ現れるのかもしれない」
「二つ目ね。たしか、私を誰から守るのかって話ね。あなたは直接私を守らなくてもいいわ。守るのはナイトだもの。まぁ、あなたの身体が危険にさらされているのは間違いないし、教えてあげるわ。私の国では、国の王を決めるために七年に一度の戦いが行われているわ。そして、今年がその年。ナイトと私の力で政権を手に入れることができた。だが、私たち二人は東洋人として差別されていただから、私たちが政権を手にしたことに納得のいかないやつらが私たちを狙ってきているってわけね。」
俺は、黙ってクリスの目を見て聞いていた。
「二つ目で、三つ目の内容まで喋ってしまったわね。もう本当にめんどくさかったわ。あんたがもっと頭のいい人だったら簡単だったのにねー」
クリスは深いため息をついた。
「早くついてきなさい」
「おい、ちょっと待てよ」
俺を置いていくように保健室の扉が開けた。
俺は、急いでベッドから起き、靴の踵を踏む形で追いかけた。
なんとかクリスに追いつくことができたが、靴のせいでクリスの目の前で転んでしまった。
やばい。やばい。このままだとクリスにぶつかってしまう。
ああああああああああ。
きゃっ。
金色の髪が揺れた。
「なにするのよ。あんた」
「ごめん。許してくれ」
俺は、クリスに覆いかぶさるようになってしまった。やばい、このままだと殺されてしまうじゃないか。
俺はすぐさまクリスから離れ、立ち上がった。
「よく守ったわね」
左から、不気味な笑い声が聞こえた。
どういうことだ。
俺は、左を見る。
そこには、深緑色の髪が印象的な女性がいた。たしか、家庭科教員の篠川先生だ。入学の時に貰った紙に書いてあった。その紙を見た時から、周りの先生とは違った雰囲気で美人だなと思っていたらのでよくおぼえている。
でも、写真で見た時との印象とは全然違う。まるで、別人だ。
なにより、右手に持ったごついボウガンが俺の視線を奪った。
「あんた、まさか刺客の存在に気付いていたの。まさかね」
そのまさかだ。刺客なんて気付かなかったに決まっている。
「まぁ、あんたに助けられたのは事実だから感謝はしとくわ。ありがと」
クリスが、こんな素直な人だとは思わなかった。
「クリスさ~ん、早くその政権を渡しなさ~い」
「その喋り方、あんたはラシャウね」
「ご名答。それがわかったところで、あんたにどうすることができるの~」
そうして、ボウガンを構えた。
俺の体は、考えるよりも早くクリスにジャンプしていた、
飛んだあとにクリスを守るために飛んだのだと理解した。
ボウガンから放たれた矢は俺の後ろ髪を撫でて、後ろの壁に刺さった。
無事クリスを守ることができた。
しかし、そのあとジャンプの勢いが強すぎて、倒れたクリスを飛び越していた。
俺は空中にいながら、クリスと目を合わせることになっていた。
これってもしかしてやばい?
今日の俺はやばいことしかないな。うんうん。
そのまま、俺は壁にぶつかった。思った以上に強くぶつかってしまい、意識が飛んだ。これは絶対飛んだ。
そして、目の前が暗くなった。
「よくクリスを守ってくれた。あとは俺に任せろ」
もう一人の俺の声が聞こえた。


つづく