イラストレーター
ごとうえりさん

卒業生インタビュー

青森県弘前市出身。ふかしぎな動物たちを描くイラストレーター。イラスト・キャラクター・デザイン・動画を手がける。主に仙台で活動中。絵のお仕事の他、展示会も積極的に開催。
2026年 むかでや オリジナルスタンプのイラスト・デザイン
2025年 八木山動物公園×藤崎コラボTシャツ「双子のホッキョクグマ」のイラスト
2024年 藤崎 クリスマスキャンペーンイラスト

写真:ごとうえりさん

アイデアの質は「手数」で決まる。校長から学んだクリエイターの原点

インタビュアーA:
学校で学んだ中で、今の仕事に一番役に立っているスキルや考え方は何ですか?
ごとうえりさん:
とにかく、ラフの段階でたくさんアイデアを出すことです。これが今でも一番大事なことだと思っています。
インタビュアーA:
ちなみに、仕事のどういった場面でそれを感じますか?
ごとうえりさん:
例えば締め切りが近い時に、パッとアイデアが浮かんで、すぐに提出できるかどうかが鍵になります。アイデアはあればあるほど、その中から吟味していただけるので。アイデア出しは基本であり、一番大事な部分だと思っています。
インタビュアーA:
それは誰先生に学んだのでしょうか。
ごとうえりさん:
主に村上校長ですね。10個、20個出しても「全滅」するくらいダメ出しを食らいました。それが今の自分にとって、大きな糧になっています。
インタビュアーA:
校長から「この世界はダメで当たり前だから、とりあえず10個、20個考えなさい」とプロとして通用するための高いハードルを課されたわけですね。技術的なことよりも、考え方や手数といったマインドを学んだと。
ごとうえりさん:
そうですね。

「人様に見せる」責任感。厳しくも温かい先生方の教え

写真:ごとうえりさんインタビュー
インタビュアーA:
印象に残っている授業や、先生の言葉はありますか?
ごとうえりさん:
「中途半端な作品は人様に見せるな」という校長の厳しい言葉です。私は負けず嫌いなので、その言葉が今でも響いていて、頑張る源になっています。
インタビュアーA:
それはいつ言われた言葉ですか?
ごとうえりさん:
卒業式の日に、みんながいる中で言われました。「そんな中途半端なものを人様に見せるな」と言われた時は、図星だったのでショックで思わず泣いてしまいました。
インタビュアーA:
なぜそこまでショックを受けたのでしょうか。
ごとうえりさん:
当時、友達とグループ展などをしていたのですが、今の自分から見ても完成度が低すぎる作品だったんです。「一つの作品です」とお見せするには不十分だったという悔しさもありました。
インタビュアーA:
今でも当校講師として在籍されており、当時もごとうさんへも指導されていた菅原孝行先生やヨウル⭐︎プッキ先生との思い出はありますか?
ごとうえりさん:
菅原先生は、怖いというよりもストイックな方でした。プッキ先生は、今も変わらずフワフワされていて、優しくしてくださいましたね。

完成度よりも「世界観」。就職と成長を支えたポートフォリオ

インタビュアーA:
面接やポートフォリオ作りで意識した「自分らしさ」とは何ですか?
ごとうえりさん:
ポートフォリオの表紙一つ取っても、相手の目を惹く自分らしさや分かりやすさを意識しました。作品としての完成度が極端に高くなくても、世界観という土台がしっかりしていれば、ちゃんと見ていただけると感じています。
インタビュアーA:
卒業後、どこか会社に入られてたんですか?
ごとうえりさん:
最初は印刷会社に入り、その後は別の仕事をしながら空いた時間に絵を描いていました。改めて別の企業様に営業でポートフォリオをお渡しした時、以前よりも反応が全然違ったんです。その時に「確実に成長できているんだな」と実感しました。

「童話のような世界観」を武器に。初めて掴んだ大きな案件

インタビュアーA:
ごとうさんが思う作品の「自分らしさ」は、具体的にどういう部分にありますか?
ごとうえりさん:
童話のような世界観がうまく出ていると、目に留めていただけることが多いです。
インタビュアーA:
具体的にはどんな仕事が多いですか?
ごとうえりさん:
2024年の藤崎さんのクリスマスイラストです。初めてお受けした大きな案件でした。他にも、八木山動物園と藤崎さんのコラボTシャツで、双子のホッキョクグマのイラストも担当させていただきました。

プロの仕事は「話し合い」から。

インタビュアーA:
初めて仕事を任された時は、どんな心境でしたか?
ごとうえりさん:
ワクワクと緊張が半々でした。最初は作家さんとのコラボ企画だったのですが、カフェでの打ち合わせだけでも緊張しましたね。特に難しかったのはお金の話です。高すぎてもいけないし、安すぎても生活に関わる。現実的な金額設定を含め、クライアントの希望に沿いながら自分らしさをどう出すかを考えるのは、非常に刺激的でした。
インタビュアーA:
クライアントとはお互いに意見をぶつけ合う感じなのですか?それとも、自分から「こういうものにしたい、この金額で」と提示するものなのでしょうか。
ごとうえりさん:
基本的にはまずお見積もりの話から始まることが多いですが、その後に具体的なデザインを突き詰めていく中で、ラフを何種類かお見せします。そうして内容を固めながら話し合っていく過程が、一番楽しいですね。
インタビュアーA:
そのやり取りは、お仕事で何回くらい行われるんですか?
ごとうえりさん:
人によっても異なりますが、初期にお受けした案件では多くの部分を任せていただいたこともあり、5、6回ほどやり取りを重ねたと思います。

技術だけじゃない。先輩に見た「プロとしての立ち振る舞い」

写真:ごとうえりさんインタビュー
インタビュアーA:
「プロとはこういうことか」と感じた瞬間はありますか?
ごとうえりさん:
東北イラストレーターズクラブ(東北在住のプロのイラストレーターの団体)に入って、先輩と動物園の方との打ち合わせに同席した時です。先輩方は細かいところまで想定して準備をされていて、堂々とリラックスして話されていました。私がいつもガチガチになってしまうのは、準備不足や想定不足から来る自信の無さなんだと実感しました。
インタビュアーA:
先輩方の姿を見て、ご自身の意識も変わったと。
ごとうえりさん:
経験の差をまざまざと感じました。作品が素晴らしいのはもちろんですが、それ以外の立ち振る舞いや準備がきちんとしているのが、さすがプロだなと思いました。

自分の絵で街を彩る喜び。クリエイターとしての至福の時

インタビュアーA:
自分の仕事が世の中に出た時の感動を教えてください。
ごとうえりさん:
藤崎さんのクリスマスイラストが、館内や紙袋、ウィンドウに大きく展開された時は、その場で泣いてしまうほど感動しました。特に、ウィンドウで動くサンタさんを見て、お子さんが楽しそうに写真を撮っている姿を見て、「街の人に楽しんでもらえるものが作れて本当によかった」と思いました。
インタビュアーA:
どのようにこの仕事が決まったんですか?
ごとうえりさん:
引っ越した先でたまたま目にした「市政だより」がきっかけです。八木山動物園で絵本の読み聞かせイベントがあるのを知り、「私の絵本動画で読み聞かせをしてもらえないか」と自分からメールでアプローチしました。動物園の方から「毎月は難しいけれど、年に一回開催している『藤崎デー』というイベントがあるから、そこでやってみないか」と言っていただいたんです。それが初めての機会となり、そのイベントの主催者が藤崎さんでした。会場で私の作品を見た藤崎の担当者の方が「面白そうだ」と思ってくださり、「ちょうど今年のクリスマスのイラストをお願いできないか」とお声がけをいただいたのがきっかけです。
インタビュアーA:
市政だよりから始まったんですね。まさに自分からのアクションが道を切り拓いたと。
ごとうえりさん:
あそこでメールをしていなければ何も始まっていませんでしたし、クリスマスのイラストのお仕事も、きっとありませんでした。どこにチャンスが転がっているか分からないので、自分から積極的にアプローチしたことと、あとは少しでも「面白い」と思ってもらえるような活動ができていたのかな、と思っています。
インタビュアーA:
そうですね。次々とお声がけがかかるのは、まさにそういうことだと思います。その市政だよりを見てメールを送ったときも、常に何かチャンスがないかと探していたのですか? それとも、その時はたまたま偶然だったのでしょうか。
ごとうえりさん:
実は、それまでは市政だよりなどはあまり見ていなかったんです。引っ越しをしてから、フリーペーパーや市政だよりが届いていることに気づいて、「無料で情報が入ってくるのに見ないのはもったいない」と目を通すようになりました。気になった記事を切り抜いたりしている中で、たまたま八木山動物公園の「おはなし会の絵本読み聞かせ」のお知らせが載っていて、「動物園で絵本読み聞かせをしている人がいるんだ」と初めて知り、私にもやらせてもらえないか企画書をお送りしました。

最強の「凡人」を目指して。いかに面白くできるかを考える

インタビュアーA:
高校時代の自分にアドバイスをするなら、何と言いますか?
ごとうえりさん:
「上手い絵を描こう」とせずに、「どれだけ面白がれるか」「面白いものを提供できるか」を考えながら描いた方がいいよ、と言いたいです。まずは自分が楽しむこと、そして客観的に見た時にみんなも面白がってくれるか。
インタビュアーA:
まさにそれがプロの視点ですよね。アマチュアはどうしても「自分のやりたいこと」だけになりがちですからね。
ごとうえりさん:
よっぽど神ががっている人ならそれでも通用するのでしょうが、残念ながら私は凡人タイプだったので。本当に常に心がけているのは、天才に負けないくらいの「最強の凡人」を目指すことです。いかに面白くできるかを常に考えています。

未来のクリエイターへ。「楽しい」を突き詰める大切さ

インタビュアーA:
なるほど。では最後に、この業界を目指す高校生に一言メッセージをお願いします。
ごとうえりさん:
結局のところ、若いうちは自分が楽しめる絵を、まずは全力で描けるように頑張ってほしいです。 まずは楽しむことですね。
インタビュアーA:
その先に、仕事にするかどうかがあるという感じですね。
ごとうえりさん:
最初から「上手い絵を描こう」と力んでしまうと、上手く描けない自分を追い詰めて自滅してしまう方が結構いらっしゃるんです。それよりも、どれだけ自分の好きな絵を楽しんでたくさん描けるか、ということを突き詰めていただけたらいいのかなと思います。
インタビュアーA:
そうですね。何事も「楽しい」から始まりますし、楽しくて面白くないと上達したいとも思わないですよね。
ごとうえりさん:
楽しくないと続けられないですからね。 先ほどの自分へのアドバイスとは少し矛盾するかもしれませんが、これから目指す方たちに贈るとしたら、「好きな絵を楽しんでたくさん描いてください」ということに尽きます。
インタビュアーA:
では以上でインタビューは終了します。本日はありがとうございました。
ごとうえりさん:
ありがとうございました。
  • インタビュアーA:当校広報担当職員

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